赤坂の津山伊勢道標
鳥取県境に近い蒜山の大山道は現在の国道482号よりも北、鳩ヶ原の高原地帯を通っています。西にある鳥取大学教育研究林の中には前回ご紹介した地蔵道標があり、赤坂という場所にも山中に道標が残されています。
遠くの地名が案内される道標
赤坂の道標は鳩ヶ原の東にあり、山道同士の交差点に大小の道標があります。大きい方は山中の大山道道標としてはかなり大きい道標です。
「右ハつ山いせ道」
「左ハむら道」
文政12年(1829)
小さい方は文字がやや読み取りづらくなっていますが、蒜山文化財保護委員会の『蒜山の文化財 第二集 石造物』によると、以下のような内容です。
北面
「左 くらよし道 中原○○○」
西面
「右 さいこく いせ 道」
いずれも遠くの地名が含まれた道標です。集落や現在の国道からは離れた位置、山道同士の交差点にありますが、この道が山陰の人々がお伊勢参りにも使うような道であったことを物語っています。
周辺の大山道
この付近の大山道は一般的な地図では道路扱いされていない山道です。蒜山インターの西、大山道の宿場として栄えた延助の集落の中央付近から北に進むと、「大山みち」の案内看板が表示された山道に入ります。蒜山高原の平地から登り始めるあたりは、大雨の時には水が流れるような谷筋で岩が転がっており、もし保全活動がなければ通行できない状態になってしまっていると思われます。
一方、この道標から500mほど西へ進めば自動車も通行可能な道路に出て、蒜山大根の畑が広がっています。さらに西へ進めば蒜山三座や大山・烏ヶ山もよく見える伸びやかな高原に出て、景観の変化も楽しい場所です。
この付近も初見では迷わず歩くのは難しい場所かもしれませんが、「出雲街道を歩こう」では「ヤマレコ」に山行記録を残していますので参考にしてください。また、「蒜山ガイドクラブ」が開催する「大山古道トレッキングツアー」もありますので、そういった機会を活用するのも良いでしょう。
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