大山道分かれの道標(横手道・溝口道)

大山道は各地から大山に至る道なので、一筋の道ではありません。主な道筋として横手道、溝口道、丸山道、尾高道、坊領道、川床道の6つがあり、それぞれの道がまた枝分かれしていきます。大山周辺でその分岐点となる道標を見ていきましょう。今回は横手道と溝口道の2つの道標をご紹介します。

横手道と溝口道が分かれる桝水分かれの道標

横手道と溝口道は大山寺や博労座(現在の第4駐車場)から県道158号の道筋で南西に向かいます。大鳥居から一丁地蔵も残る道をさらに600mほど進んだところにあるのが桝水分かれの道標です。県道から横手道の遊歩道が入ってすぐの場所です。

「左 ゑび みつくゑ」

「右 みぞ口 二ぶ」

天明8年(1788)

左が江尾や御机への道、右が溝口や二部への道、すなわち南の江府町方面は左、西の溝口町(現・伯耆町)方面は右であることを示しています。左(南)が横手道、右(西)が溝口道です。

桝水分かれの道標
横手道と溝口道の分かれをわかりやすく表記

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御机方面と江尾方面に分かれる小柳分かれの道標

桝水分かれの道標から遊歩道となっている横手道を進みます。ここは「歴史の道百選」にも選定された道で、一丁地蔵もその大半が残存、また、新緑や紅葉など季節の移ろいもよく感じられる自然豊かな道でもあります。

横手道
一丁地蔵が並ぶ横手道

その横手道の遊歩道区間を抜け、県道45号に出て南東へ300mほど、県道から南に少し入ったところにあるのが小柳分かれの道標です。県道沿いに小さな標柱があってその場所を示しているものの、自動車で走っていてはまず間違いなく見逃すので、一の沢と大山町/伯耆町境の間にあると頭に入れておきましょう。桝水分かれの道標付近とは違い、道標付近の古道は遊歩道や登山道としての整備はされていません。

「左 ミつくゑ ゆばら」

「右 こやなぎ ゑび」

享和3年(1803)

横手道が御机方面と江尾方面に分かれることを示す道標です。やや読みにくいですが御机の下は「ゆばら」で、これは岡山県真庭市、湯原温泉の湯原です。また、この道標には「備前児島郡柳田村」との文字もあり、岡山県方面からの大山道である横手道を象徴しています。一方、江尾方面の道も江府町の中心地である江尾を筆頭に、日野郡各地と大山を最短距離で結ぶ道としてよく利用されていたことでしょう。

小柳分かれの道標
岡山県からの大山道であることがよくわかる小柳分かれの道標

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