【途中下車の旅】美作大崎駅

地域の足として約100年の歴史を刻んできた鉄道・バスですが、過疎化や車社会化による利用の減少に加え、コロナ禍や乗務員不足が追い打ちをかけ、その状況はますます厳しくなってきています。そこで、鉄道を利用した小さな旅の参考材料として、各駅から徒歩圏内の見どころをまとめていきます。姫新線(播磨新宮~中国勝山)や伯備線(根雨~伯耆大山)の普通列車の運行頻度が2時間に1回程度なので、2時間で無理なく歩いて駅に戻ることを想定しています。小さな旅を通して、少しでも鉄道を利用していただければ幸いです。

美作大崎駅の概要

設備:小さな待合所があるだけ無人駅で、トイレもありません。自動券売機はなく、交通系ICカードは利用できません。

開業:昭和9年(1934)11月28日

令和元年度(2019年度)の乗車人員:22人

路線バス:中鉄北部バス・柵原星のふる里バス(少し離れた大崎バス停)

美作大崎駅
美作大崎駅の外観

姫新線と出雲街道が並行

美作大崎駅を出ると、すぐ南を出雲街道が横切っており、姫新線の線路に沿うように津山方面および勝間田方面に続いています。駅の周辺は大崎地区の中心部で、街というほどではないですが家並みが連続し、大崎公民館やいくつかの店があります。この周辺は瓦に適した粘土質の土壌であるため、かつて瓦の製造が行われており、瓦の製造・販売が盛んだった頃には出雲街道沿いにも商店や病院や旅館が並んでいました。また、旧街道としての見どころとしては、北西方向に500~600mほどのところに足腰の痛みにおかげがある光伯地蔵や後醍醐天皇ゆかりの夜泣き地蔵などがあります。

光伯地蔵堂
わらじが供えられた光伯地蔵堂

福力荒神社

美作大崎駅から北に見える福力荒神社はマムシ除けの神社として有名です。日頃は静かな神社ですが、旧正月の3日間開かれる大祭の日には津山市の人口を上回る10万人以上の人出があり、かつては姫新線にも臨時列車が運行されていました。姫新線の福力の1踏切や出雲街道との交差点を過ぎて駅や大崎小学校の手前まで露店が並び、この規模の地区、この規模の神社としては信じられないほどの大賑わいとなります。

福力荒神社
福力荒神社
出雲街道にも露店が並ぶ
出雲街道にも露店が並ぶ

また、大崎は美咲町方面への県道413号の分岐点となっており、柵原星のふる里バスも運行されていますが、その沿線には西大寺元標の里程標が3基残されています。この里程標は西大寺を基点とし、福力荒神社への道に設置されたものとされており、そんな道の歴史からもこの神社が広く崇敬を集めていたことがわかります。

美咲町吉ヶ原の西大寺元標十二里里程標
美咲町吉ヶ原の西大寺元標十二里里程標

源義経の伝説も

美作大崎駅付近から北に見える丘陵地には新宮城跡があります。駅からの列車1本分の途中下車時間で山城を見るのは難しいと思いますが、遺構もよく残されていて山城に興味のある方なら立ち寄ってみたい場所です。

また、この付近では元暦元年に源氏と平氏の戦いがあり、源義経も出陣してきたと言い伝えられています。美作大崎駅が所在する福力地区の東、池ケ原地区には義経大明神という小さな神社もあり、その神社の北の丘が義経の本陣跡とされています。また、周辺の池や踏切などにも義経の名前が付けられ、日本史上でも人気の高い武将の名前が地名として取り込まれています。

義経大明神
義経大明神
義経本陣跡
義経本陣跡

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