【途中下車の旅】美作土居駅(2.出雲街道の宿場町)
「1.昔の設備を残す駅」として駅のご紹介をした美作土居駅の周辺は、かつての出雲街道の宿場町で、「出雲街道土居宿を後世にのこす会」の皆様がその歴史を顕彰する活動が長く続けられています。
土居宿西惣門
駅を正面に出ると、旧出雲街道(現在の県道46号)にぶつかる交差点のところに立派な門があります。美作国東端にある土居宿は国境の警備のため、宿場の東西に門が設けられていたことが全国的にも珍しい特徴で、土居宿の象徴として再建されたものです。

西には一里塚
出雲街道を西に進み、門尻橋で山家川を渡ると、国道179号に合流する手前に一里塚があります。江戸時代に全国の街道に整備された一里塚も現存するものは少なく、土居の一里塚は木こそ植え替えられているものの、道を挟んだ松の北塚、榎の南塚が今まで守られ続けており、当時の形をそのまま残している貴重な存在です。

東には宿場町
西惣門から東は土居宿の宿場町です。有名観光地になっているような宿場町のように当時の古い建築物が残されているわけではありませんが、「出雲街道土居宿を後世にのこす会」による看板が掲出され、道沿いに家が並び、町割りもほぼ当時の姿のままであることから、かつての宿場町を想像することができます。「美作市出雲街道マップ」も制作されています。

北には福城跡
美作土居駅の裏の山は中世の福城跡で、駅のすぐ東の本典寺踏切の東か、市営グラウンドの脇から入ることができます。山城ではありますが、さほど高い山ではなく何十分も山道を登る必要もありませんので、気軽に立ち寄ることができます。山城マニアの人気を集めるほどの城郭遺構が残っているわけではありませんが、現在は墓地になっている多くの平地、写真の馬落し跡など、山を削って城を築いたことはよくわかります。

城跡にある墓地のうち1カ所は展望を遮る木が伐採されていて、周辺の眺望が開けます。国境に位置しながらも多くの人が居住できるだけの平地があり、土居が国境の要地として重視されていたことも理解できます。
