【途中下車の旅】美作千代駅
地域の足として約100年の歴史を刻んできた鉄道・バスですが、過疎化や車社会化による利用の減少に加え、コロナ禍や乗務員不足が追い打ちをかけ、その状況はますます厳しくなってきています。そこで、鉄道を利用した小さな旅の参考材料として、各駅から徒歩圏内の見どころをまとめていきます。姫新線(播磨新宮~中国勝山)の普通列車の運行頻度が2時間に1回程度なので、2時間で無理なく歩いて駅に戻ることを想定しています。小さな旅を通して、少しでも鉄道を利用していただければ幸いです。
美作千代駅の概要
設備:無人駅ですが、古い駅舎があります。駅舎の隣にトイレがあります。自動券売機はなく、交通系ICカードは利用できません。
開業:大正12年(1923)8月21日
令和元年度(2019年度)の乗車人員:40人/日
路線バス:ごんごバス(少し離れた美作千代駅入口バス停)
開業時に建てられた築100年の木造駅舎が大きな特徴となっており、戦前開通の古いローカル線の駅らしさが今も残されています。
4つの地区の中間に所在
千代というのは駅から700mほど西の地名で、隠岐配流の途中の後醍醐天皇が乗られていた輿を洗ったことが地名の由来になっているという伝説もあります。しかしながら、その千代が周辺で突出して大きい町というわけでもなく。美作千代駅は領家地区、久米川南地区、南方中地区、中北下地区の境界付近に所在します。津山盆地の西部では(勝間田や久世や勝山のような)はっきりと中心地区になっている町がなく、そのためか院庄駅から美作追分駅までの姫新線各駅は各集落に配慮して地区の中間に所在しています。
出雲街道の一里塚が残る茶屋集落
千代の地名は西にあり、そちらには久米支所もあって旧久米町エリアの中心になっていますが、列車1本分の途中下車で歩くなら出雲街道を歩いて東に行くのがおすすめです。
この付近の出雲街道は概ね国道181号と重複しており、1kmほど東に進むと北の茶屋集落では集落内に旧街道が残されています。ここには一里塚があり、近年まで江戸時代からの榎の木が生き残っていました。枯死して危険な状態になったため切られてしまいましたが、今も切り株が残っており、そこから次の代の榎の木が育ちつつあります。また、その少し東の道沿いには金毘羅常夜燈も見られ、茶屋という集落の名前と言い、ここを歩けば短区間で旧街道らしさがよく感じられます。
Zガンダムで有名な道の駅
茶屋集落を過ぎて国道に戻り、久米川を渡ると道の駅久米の里が見えてきます。この道の駅で有名なのは何と言ってもZガンダム。周辺在住の個人が作ったというこのガンダムは、その巨大さが目を引くだけでなく、細部まで凝って作られているそうで、ガンダムに興味のない人でも思わず注目して写真を撮る人気ぶりです。
道の駅としての設備も充実しており、レストランでは地産地消メニューを幅広く取り揃え、日によりますが直売所にも多くの商品が並びます。岡山県北部でトップクラスの人気の道の駅で、単にこの道の駅で時間を過ごしても地域の特色に触れられる途中下車の時間となるでしょう。令和5年(2023)には隣接地にホテルも開業しました。