【途中下車の旅】播磨新宮駅(1.北口から~町の歴史を見る~)

地域の足として約100年の歴史を刻んできた鉄道・バスも、過疎化や車社会化による利用の減少に加え、近年のコロナ禍や人手不足が追い打ちをかけ、厳しい状況に追い込まれています。そこで、小さな旅を通して、少しでも鉄道を利用していただく参考材料となるよう、各駅から徒歩圏内の見どころをまとめていきます。姫新線(播磨新宮~中国勝山)や伯備線(根雨~伯耆大山)の普通列車の運行頻度が2時間に1回程度なので、2時間で無理なく歩いて駅に戻ることを想定しています。

播磨新宮駅の概要

設備:橋上駅舎で北口と南口があります。無人駅ですが、自動券売機で近距離の切符は購入でき、交通系ICカードも利用可能です。(佐用・津山方面はエリア外となるので、姫路方面にのみ利用可能)

開業:昭和7年(1932)7月11日

令和元年度(2019年度)の乗車人員:1,246人/日

路線バス:ウイング神姫、たつの市コミュニティバス、てくてくバス

播磨新宮駅の駅舎
播磨新宮駅の駅舎

弥生時代の新宮宮内遺跡

以前の播磨新宮駅は南の国道179号の方を向いた駅舎でしたが、橋上化の際に北口が開設されました。その北口を出ると近くにあるのが新宮宮内遺跡で、現在は史跡公園として整備され、竪穴式住居も再現されています。この遺跡は縄文時代からの集落であり、弥生時代に最も栄えたとされており、その大きな特徴として挙げられるのが岡山県に分銅形土製品の出土が非常に多いことです。出雲街道は古代からの道ですが、沿線の文化的交流はさらに古い時期からあったことを窺わせます。

新宮宮内遺跡
新宮宮内遺跡

また、新宮宮内遺跡の北にはたつの市新宮支所などの公共施設があり、たつの市立埋蔵文化財センターや新宮図書館もあり、遺跡のみならず地域の歴史を学ぶのに最適です。

たつの市立埋蔵文化財センター
たつの市立埋蔵文化財センター

新宮陣屋跡と新宮八幡神社

播磨新宮駅と言えば、姫新線における都市圏の区間とローカル線の区間の境となる駅です。たつの市の中心地である本竜野駅ではなく、播磨新宮駅が姫路からの列車の大半の折り返し駅となっているのは、新宮が多くの鉄道利用客が見込めるほどの町だからです。駅のすぐ東側にあるのは「アラ!」「塩っぺ」などが有名なブンセンの本社や工場で、その東にも密集した市街地が続きます。

その市街の中にあるのが新宮藩陣屋跡です。現在は狭い空き地の脇に案内板が設置されているだけですが、この周辺には陣屋を中心に、武士の屋敷が建ち並んでいました。出雲街道(因幡街道)はバイパスしてしまう新宮の町ですが、江戸時代にも地域の中心地であったことがわかります。

新宮藩陣屋跡
新宮藩陣屋跡

宍粟市方面への県道26号を横断すると、その東にあるのが新宮八幡神社、揖保川の畔にある現在の神社は領主だった池田重政が寛永20年(1643)に新宮藩陣屋の敷地内に移転させたものです。広々とした境内にはムクノキとケヤキの古木もありますが、何より印象的なのが平成16年(2004)に建て替えられた大鳥居です。この鳥居は「一本の石柱で造られた石鳥居としては」の但し書きは付きますが、日本一の大きさの鳥居です。

大鳥居が印象的な新宮八幡神社
大鳥居が印象的な新宮八幡神社

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