【途中下車の旅】岸本駅

地域の足として約100年の歴史を刻んできた鉄道・バスも、過疎化や車社会化による利用の減少に加え、近年のコロナ禍や人手不足が追い打ちをかけ、厳しい状況に追い込まれています。そこで、小さな旅を通して、少しでも鉄道を利用していただく参考材料となるよう、各駅から徒歩圏内の見どころをまとめていきます。姫新線(播磨新宮~中国勝山)や伯備線(根雨~伯耆大山)の普通列車の運行頻度が2時間に1回程度なので、2時間で無理なく歩いて駅に戻ることを想定しています。

岸本駅の概要

設備:伯耆町商工会館を併設していますが、無人駅で、早朝・夜間は駅舎を通らずにホームに出入りします。自動券売機はなく、交通系ICカードは利用できません。

開業:大正8年(1919)8月10日

令和元年度(2019年度)の乗車人員:216人/日

路線バス:日ノ丸自動車(少し離れた伯耆町役場バス停)

岸本駅の駅舎
岸本駅の駅舎

大山の眺めとひまわり畑

岸本駅の少し北は伯備線の車窓から大山が最もよく見える場所です。この付近から見る大山は「伯耆富士」の異名がふさわしく、のどかな田園風景の中で見る大山の穏やかな姿が特徴です。大山や伯備線の列車を撮影するカメラマンもよく見かけます。

吉長地区から見る大山

また、伯耆町では「景観形成作物栽培促進事業」を推進しており、季節には菜の花、レンゲ、ひまわりといった花が一面に広がり、大山を望む田園風景を彩っています。

押口地区内のひまわり畑
押口地区内のひまわり畑

古くからの集落の風景と水路

岸本駅は米子駅から3駅、伯備線が分岐する伯耆大山駅から1駅で、伯耆町役場もある駅ということで、郊外型の開発が進んでいそうなイメージを持つ立地ですが、岸本駅の東や北にある吉長、押口、遠藤といった集落はいずれも古くからの雰囲気を残しており、自動車の離合も場所を選ばなければならない細い道沿いに、門や蔵を持つ立派な民家が並んでいます。

また、これらの集落には必ず水路が流れており、水路のネットワークやその側にある小社・石仏を見るのも興味深いところです。大山山麓における昔ながらの集落の風景を残しながらも、山間部のような過疎化はしておらず、昔の暮らしが今も生活の中に息づいている様子が印象的です。

吉長の集落内
吉長の集落内
水路が近辺を巡る
水路が近辺を巡る

路線バスも便利

岸本駅における伯備線の普通列車の本数は2時間に1回程度ですが、駅から300mほど国道181号に日ノ丸自動車の日野本線(米子~岸本~溝口~江尾~根雨)および溝口線(米子~永江団地~岸本~溝口)の路線バスが通り、両方を合わせると1時間に1回程度の運行回数となっています。また、伯耆町北端の遠藤地区までは日本交通の水浜線もあります。伯備線と路線バスを組み合わせれば、あまり時間に縛られることなく途中下車の旅を楽しむことができます。

伯耆町役場バス停
伯耆町役場バス停

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