天保国絵図で辿る出雲街道の村と一里塚 －5.出雲国－
「天保国絵図」は天保6年（1835）に江戸幕府によって作成が命じられ、天保9年（1838）に完成した地図で、現在、国立公文書館デジタルアーカイブで閲覧することができ、江戸時代後期の全国の様子を知るのに非常に有用な絵図です。この「天保国絵図」を使って、そこに描かれた出雲街道の村と一里塚を辿ってみましょう。前回の伯耆国に続いて、今回は出雲国です。なお、出雲国では出雲街道と山陰道は重複しているため、山陰道の村と一里塚と同じです。
出雲街道が通る村
出雲国に入って最初の村は伯耆国の陰田と同様、番所が置かれていた能義郡の吉佐村です。次いで門生村を通り、嶋田村の南、細井村の南、黒鳥村の東、和田村の南を通って安来村（安来宿）に至ります。余談ながら、安来市街の東、現在の黒井田町は黒鳥・細井・和田から一文字ずつ取った合成地名です。もり川（伯太川）と吉田川を渡ると飯島村、富田川（飯梨川）を渡ると赤江村で、田頼川を渡れば荒嶋村です。
荒島の西で現在の松江市に入り、意宇郡最初の意東村、曲がりくねった道の先で揖屋村を通ると、出雲江村（出雲郷宿）です。橋が描かれた意宇川を渡って八幡村、馬潟村の西、矢田の東を通り、津田川（馬橋川）を渡ると津田村で、現在の竪町と思われる場所から現在の天神橋を渡って松江町、現在の松江大橋を渡って松江城に到着します。
出雲街道の一里塚の場所
伯耆国で一里塚が描かれている場所は、伯耆国境のすぐ西、嶋田村と細井村の間、安来村と伯太川の間、荒嶋村の西、八幡村の南、津田村の東の6カ所です。
出雲国の出雲街道（山陰道）一里塚については、歴史の道調査報告書およびそこで見ることができる道程記があり、私が制作した「出雲街道を歩こう」のマップおよび当ブログで安来市、松江市東部の2回に分けてご紹介した内容もそれに基づいています。資料がとてもよくまとまってこともあって、天保国絵図との差異についても全く気付くことがなく、ここで検証・考察することが何もありません。江戸時代の松江藩がしっかりとした絵図を作成し、残してきたと言えるでしょう。
