【途中下車の旅】美作土居駅(3.国境の峠道)

美作土居駅は「1.昔の設備を残す駅」「2.出雲街道の宿場町」として概ね2時間で歩いて回れる駅周辺の見どころをご紹介しましたが、もう一つ、駅周辺にぜひ訪れていただきたい場所が国境の萬ノ乢への峠道です。

土居小学校近くに四ツ塚など

土居の宿場町を東に進んでいくと東惣門跡があり、続いて国道178号をくぐると、土居小学校があります。その運動場の先に記念碑等が集まった一角があり、土居出身の尊王攘夷の志士である安藤鉄馬の碑、誤解から土居の地で亡くなった4人の尊王攘夷の志士を祀る四ツ塚があります。

四ツ塚
四ツ塚

また、土居宿四百周年、姫新線開通八十周年の記念碑もあり、姫新線の建設に尽力した豊福泰造の功績が紹介されています。姫新線の開通は美作土居駅を含む兵庫・岡山県境が最も遅くなりましたが、土居は町の衰退を恐れて鉄道の誘致に消極的だったわけではなく、旧街道の道筋を鉄道に譲り、周辺の有力者が私財を投げうってまで鉄道の建設に尽力してきた歴史があります。

案内板
出雲街道土居宿四百年・姫新線全通十周年記念碑
案内板

萬ノ乢への峠道

坂道にかかっていくと警報機も遮断機もないずい道西口踏切があり、その先は兵庫県境の萬ノ乢へ向かう未舗装の山道となります。道沿いには家はおろか田畑や墓地もなく、史跡散策以外に用途はなくなった道ですが、「出雲街道土居宿を後世にのこす会」の皆様が年2回の草刈りを実施されているおかげで美しい状態が保たれており、昔のままの旧街道歩きが楽しめます。

ずい道西口踏切
ずい道西口踏切

萬ノ乢の手前で道の少し南側にあるのが梅香塚という松尾芭蕉の歌碑です。このような国境の峠道にこのような句碑があることは出雲街道を介した文化的な交流を示すものであり、先述した幕末の志士や姫新線建設のエピソードも含め、国境の交通の町らしい歴史を感じます。

梅香塚
梅香塚

そうして到達した萬ノ乢には木製の標柱が立っています。ここから先、上月方面にも道は続いていますが、兵庫県側の道は荒れがちで、途中下車の旅としてはここで折り返したら良いでしょう。国境の交通の町らしい歴史とそれを守る地元の人々の力を感じつつ美しい自然の中を歩く、土居ならではの魅力に溢れた峠道です。

国境の萬ノ乢
国境の萬ノ乢

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